09.光合成細菌RAP99の抗腫瘍試験(肺ガン) | 専門家向け

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<ルイス肺癌細胞(3LL)を用いた抗腫瘍作用評価試験>

試験実施者:自然免疫応用技研株式会社

【目的】

光合成細菌RAP99菌体の様々な薬理作用について、関与している含有成分を有効成分として検討するため、その候補化合物の一つであるリポ多糖(以下RAP99-LPSと表記)の腫瘍増殖抑制効果を、Lewis肺癌細胞3LLを用いて確認した。

【試料と方法】

(1)使用動物

雄性のC57 BL/6Jマウス(20g~23g、実験開始時7週齢)を日本クレア株式会社から購入して使用した。動物実験は香川大学動物施設にて実施し、また、動物の管理は動物施設の規則に従って行った。動物搬入後、1週間の予備飼育を行い、餌(CE-2固形飼料)および水は自由摂取とした。

(2)腫瘍細胞

ルイス肺がん由来細胞株(Lewis lung carcinoma:3LL、以下3LLと表記)は、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所のJCRB細胞バンクより凍結細胞を入手した。その後、3LLをin vitroで培養した後、C57BL/6マウスを用いてin vivoで2回継代培養したものを試験に用いた。

(3)試料溶液の調整

①陰性対照物質

RAP99-LPSの溶解に用いた生理食塩水を陰性対照物質とした。

②陽性対照物質

Poly(I:C) (Polyinosinic-polycytidylic acid sodium salt、InvivoGen)を陽性対照物質として用いた。

③RAP99-LPS

RAP99-LPSについては、注射用水(日本薬局方、株式会社大塚製薬工場)に2mg/mLになるように溶解し4℃にて保存しているもの使用した。使用時に37℃で5分間加温した後、37℃で超音波処理を1分間行った。処理後、975μLの生理食塩水に25μLを加えよく混ぜ、50μg/mLの溶液を調製した。

④抗がん剤

併用する抗がん剤シクロホスファミド(以下CPAと表記)については、和光純薬工業株式会社のシクロホスファミド-水和物を用いた。

(4)腫瘍増殖抑制試験

3LL細胞を2×105cells/50μL/マウスの割合で、C57BL/6マウスの腹部皮内に移植した。一定の腫瘍サイズ(直径で5mm程度)になった時点(移植後8日目)で腫瘍サイズに基づいて群分し、表1に示した試験群にBP0899-LPS試料溶液およびCPAを投与した。投与ルートは、RAP99-LPSは腹腔内投与または給水瓶による自由摂取、CPAは腹腔内投与とした。

腫瘍径を、RAP99-LPS投与開始日を0日目として3日ごとに測定した。RAP99-LPSの腹腔内投与は腫瘍サイズ計測後に行い、自由摂取の給水瓶は3日ごとに交換した。対照群(溶媒投与群)の腫瘍サイズに比較して抑制効果が認められるかを調べた。試験は、1群6匹のマウスを用い、12群で実施した。

(5)腫瘍体積の算出

ノギスを用いて腹部の腫瘍の長径と短径を測定した。腫瘍体積は下記の計算式を用いて算出した。

計算式:長径(mm)×短径の2乗(mm)2×0.4=腫瘍体積(mm3

【結果と考察】

表1 RAP99-LPSとCPAの併用によるLewis肺癌細胞3LLに対する増殖抑制作用

RAP99-LPSとCPAの併用によるLewis肺癌細胞3LLに対する増殖抑制作用

ip:腹腔内投与、po:経口投与

(1)陽性対照

陽性対照として用いたPoly(I:C) 腹腔内投与群では、陰性対照群に比べ、投与開始後11~17日において42.5%から60%の抑制率を示した。11日目と14日目は有意に低い腫瘍体積を示した。

Poly(I:C)とCPA併用群では、11~17日目において、53.8%から88.7%の抑制率を示した。11日目と14日目は有意に低い腫瘍体積を示した。

(2)抗がん剤CPAのみ

CPAのみの群では、11~17日目において、43.3%から59.3%の抑制率を示した。11日目、14日目および17日目において有意に低い腫瘍体積を示した。

(3)RAP99-LPS

RAP99-LPSの腹腔内投与群では、RAP99-LPS単独投与群で11~17日目において20.3%から32.9%の抑制率を示し、14日目において有意に低い腫瘍体積を示した。CPA併用群で11~17日目において45.1%から71.2%の抑制率を示し、11日目、14日目において有意に低い腫瘍体積を示した。

経口投与群では、RAP99-LPS単独投与群で11~17日目において24.7%から39.7%の抑制率を示し、14日目において有意に低い腫瘍体積を示した。CPA併用群で11~17日目において48.7%から72.4%の抑制率を示し、11日目、14日目および17日目において有意に低い腫瘍体積を示した。

(4)考察

抗腫瘍効果の作用機序に関しては、Poly(I:C)の腹腔内投与により、TLR3/TICAM-1経路を介して、腫瘍に浸潤している腫瘍随伴マクロファージ(TAM:腫瘍の増殖をサポートするようなマクロファージ)から抗腫瘍性を示すマクロファージに変換されることを、Shimeらが明らかにしている1)。この結果により、Poly(I:C)の投与により腫瘍中に浸潤するマクロファージ(TAM)において、TICAM-1経路で誘導されるTNF-α、及びM1型マクロファージへの変化が抗腫瘍活性を誘起するのに重要であるとShimeらは考察している。

Shimeらの結果と考察を参考にすると、BP0899-LPSの場合も同様であると推測される。RAP99-LPSはTLR4のリガンドであり、TLR4経路が主なシグナル伝達の経路である。TLR4経路では、MyD88経路とTRIF/TICAM-1の経路の2種類が活性化されることより、腫瘍内でのTNF-α、及びTAMのM1型への変化が抗腫瘍効果に重要な役割を担っているものと推定された。

【参考文献】

1) Shime H et al., Toll-like receptor 3 signaling converts tumor-supporting myeloid cells to tumoricidal effectors, Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Feb 7;109(6):p.2066-p.2071.

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