<卵白アルブミン誘発アレルギー試験を用いた光合成細菌RAP99菌体によるTh1/Th2インバランス是正確認試験>
試験実施者:東北薬科大学(現:東北医科薬科大学)石川正明教授
<目的>
卵アルブミン(卵白を構成するタンパク質)によるアレルギー反応を起こしたマウスに、光合成細菌RAP99を経口投与し、Th1/Th2のバランスに与える影響を評価することを目的とした。
<Th1/Th2とは?>
Th1、Th2ともに免疫細胞であるT細胞のこと。体内に侵入した異物の種類によってTh1またはTh2に変化する。Th1は主に細菌やウイルスに対して反応する細胞であり、Th2は主に花粉やアレルギー物質に対して反応する細胞のことである。これらのバランスが崩れ、Th2が過剰に存在すると、アレルギー症状が出るといわれている。
<試験方法>
①血清中のIgE※1およびIL-4※2測定
マウスにRAP99菌体を2週間摂取させ、最終日に卵アルブミンを投与した。さらに10日後に卵アルブミンを追加投与し、その1週間後に採血した。採血した血清を用いてIgEおよびIL-4測定を行った。比較として、RAP99菌体を摂取していないマウスも同様に試験を行った。
※1:IgEとは、身体の中に入ってきたアレルギー物質に対して反応する抗体のこと。アレルギー体質の方は血液中に多くのIgEが存在すると言われている。したがって、IgE値が低くなるとアレルギー体質の改善につながる。
※2:IL-4とは、身体の中にアレルギー物質が侵入したことを全身に伝える物質のこと。まずTh2からIL-4が分泌される。このIL-4が細胞に働きかけ、IgEの産出を促すことになる。
②脾臓※3細胞中のIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-5※4測定
マウスにRAP99菌体を2週間摂取させ、最終日に卵アルブミンを投与した。さらに10日後に卵アルブミンを追加投与し、その1週間後に脾臓を採取した。採取した脾臓を用いてIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-5測定を行った。比較として、RAP99菌体を摂取していないマウスも同様に試験を行った。
※3:ヒトの脾臓は、胃の左側の肋骨の下にある臓器。全身のリンパ球の4分の1が集まっており、「免疫機能の要」とも言われている。
※4:IFN-γ及びIL-2は、Th1から産出される細胞のことで、免疫の調節機能を持っている。IL-4及びIL-5は、Th2から産出される細胞のことで、アレルギー反応に影響している。
<試験結果>
①血清中のIgEおよびIL-4測定結果
図1、2に血清中のIgEおよびIL-4量の測定結果を示す。光合成細菌RAP99菌体を摂取したマウスでは、未摂取のマウスに比べてIgEおよびIL-4量が減少した。
図1 マウス血清中のIgE量
図2 マウス血清中のIL-4量
②脾臓細胞中のIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-5測定結果
図3~6に、マウスの脾臓細胞中のIFN-γ、IL-2、IL-4、IL-5量の測定結果を示す。光合成細菌RAP99菌体を摂取したマウスでは、未摂取のマウスに比べてTh1型のIFN-γ及びIL-2量が増加し、Th2型のIL-4及びIL-5量が減少した。
図3 マウス脾臓細胞中のIFN-γ量
図4 マウス脾臓細胞中のIL-2量
図5 マウス脾臓細胞中のIL-4量
図6 マウス脾臓細胞中のIL-5量
<考察>
アレルギー反応はTh2が過剰に存在することで引き起こされる。試験結果より、Th2型のIgE及びIL-4、IL-5量が減少し、Th1型のIFN-γ及びIL-2量が増加したことから、Th1とTh2のバランスが良くなり、アレルギー反応の改善に繋がると考えられる。