19.光合成細菌RAP99の肝障害試験 | 専門家向け

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<マウスを用いた四塩化炭素誘発肝障害試験>

試験実施者:東北薬科大学 石川正明教授

【目的】

光合成細菌(Rhodobacter azotoformans)RAP99凍結乾燥菌体粉末(以下、RAP99菌体粉末と略記)について、四塩化炭素(以下CTと略記)による肝障害誘発モデルマウスを用いた経口投与試験を行い、肝障害予防効果、及びその組織学的な評価を行う目的で実施した。

【試料と方法】

1.RAP99混餌試料の調製
マウス飼育用粉末飼料(日本クレア社製、CF-2)に、0.1重量%の割合でRAP99菌体粉末を加え、RAP99混餌飼料を調製した。

2.CT投与量に応じた予防効果
(1)投与方法
5週齢のICR系雌性マウス(日本エスエルシー社製)3群(各群3匹)を用いた。これらの各群のマウスに、RAP99菌体粉末を10mg/kg, p.o.、1日1回、7日間投与した。その後、肝障害を誘発させるため、最終投与24時間後に、所定量(20、100、および500mg/kg, p.o.)のCT(和光純薬社製)を、前述の各群のマウスに投与した。

(2)採血及びGOT活性の測定
CT投与24時間後にマウスの血液を採取してGOT値(カルメン単位)を測定、各群のGOT平均値を算出した。また、対照群として、混餌試料およびCTを経口投与しなかった以外は各群と同様にして、血液中のGOT活性を測定して平均値を算出した。そして、下記式(1)を用いて、前記各群のGOT相対活性値を算出した。
GOT相対活性値(%)=(各群のGOT平均値)/(対照群のGOT平均値)×100…(1)

(3)コントロール
5週令のICR系雌性マウス(日本エスエルシー社製)3匹を用い、RAP99菌体粉末を経口投与しなかった以外は、RAP99菌体粉末を投与した群と同様にして試験を行い、GOT相対活性値を算出した。

3.RAP99菌体粉末投与量に応じた予防効果
(1)投与方法
5週齢ICR系雌性マウス(日本エスエルシー社製)3群(各群3匹)を用いた。各群に、所定量(3、6および10mg/kg, p.o.)のRAP99菌体粉末を、1日1回、7日間投与した。そして、肝障害を誘発させるため、最終投与24時間後に、CTを100 mg/kg, p.o.)を投与した。

(2)採血及びGOT活性の測定
CT投与24時間後に血液を採取してGOT値(カルメン単位)を測定し、各群のGOT平均値を算出した。また、対照群として、前記菌体粉末および前記四塩化炭素を経口投与しなかった以外は前記菌体粉末投与群と同様にして、血液中のGOT活性を測定し、GOT平均値を算出した。そして、実施例4と同様にして、前記各群のGOT相対活性値を算出した。

(3)対照群
5週令のICR系雌性マウス(日本エスエルシー社製)3匹を用い、RAP99菌体粉末を経口投与しなかった以外は、RAP99菌体粉末を投与した群と同様にして試験を行い、GOT相対活性値を算出した。

4.肝細胞壊死および炎症細胞浸潤に関する組織学的評価
(1)投与方法
RAP99菌体粉末10mg/kg, p.o.を、1日1回、1日間または7日間投与し、最終投与24時間後に、CTを100 mg/kg, p.o.投与した以外は、第3項で述べた「RAP99菌体粉末投与量に応じた予防効果試験」と同様に試験を行なった。

(2)対照群と比較群
RAP99菌体粉末及びCTを両方とも経口投与しない群(3匹)を対照群とした。一方、RAP99菌体粉末を経口投与しなかった以外は、CTを経口投与するなど、4(1)項と同様にして試験を行う群(3匹)を比較群とした。

(3)組織学的評価
CT投与24時間後に肝臓を摘出した。摘出した肝臓を10v/v%ホルマリン液で固定、常法によりパラフィン薄片を作製した。ヘマトキシリン染色後、光学顕微鏡を用いて組織学的に観察した

【結果と考察】

1.CT投与量に応じた予防効果
試験の結果、得られたGOT相対活性値(%)を表1及び図1に示す。試験群は対照群に比べ、GOT活性が約1/2倍に抑制され、肝障害抑制効果が認められた。また、試験群においては、7日間にわたり、RAP99菌体粉末10mg/kg, p.o.を投与したが、副作用は認められなかった。

表1 各CT投与量におけるGOT相対活性値(%)

 

 

( )内の数字は、血液中のGOT測定値の平均値

 

図1 各CT投与量におけるGOT相対活性値(%)

 

2.RAP99投与量に応じた予防効果

試験の結果、得られたGOT相対活性値(%)を表3及び図2に示す。表2及び図2に示すように、RAP99菌体粉末3~10mg/kg, p.o.を投与した試験群は対照群に比べ、GOT相対活性値が抑制され、肝障害抑制効果が認められた。また、試験群において7日間にわたり、RAP99菌体粉末3~10mg/kg, p.o.を投与したが、副作用は認められなかった。

 

表2 各RAP99菌体粉末投与量におけるGOT相対活性値(%)

 

 

 

 

 

( )内の数字は、血液中のGOT測定値の平均値
対照群は、RAP99菌体粉末およびCTの投与無し

 

図2 各RAP99菌体粉末投与量におけるGOT相対活性値(%)

 

3.肝細胞壊死および炎症細胞浸潤に関する組織学的評価

肝臓の小葉中心性の肝細胞壊死および炎症細胞浸潤の組織学的所見スコアの平均値を、表3及び図3に示す。また、組織学的所見スコアの評価の基準を表4に示す。

表3及び図3に示すように、RAP99菌体粉末投与群は、比較群よりも小葉中心性の肝細胞壊死および炎症細胞の浸潤が抑制された。すなわち、RAP99菌体粉末の事前経口投与により、四塩化炭素誘発性肝障害が抑制された。特に、肝細胞壊死については、RAP99菌体粉末の投与が無かった比較群と比べて、RAP99菌体粉末の投与を1日間受けた群では約2/3に、同じく7日間受けた群では約1/3の組織学的な評価値となった。

また、投与1日群よりも、投与7日群の方のスコア数値が低く、四塩化炭素誘発性肝障害が抑制された。これにより、より長期間RAP99菌体粉末の経口投与を受けた方が、肝障害抑制作用がより強く表れることが示唆された。さらに、RAP99菌体粉末を経口投与した試験群において、副作用は認められなかった。

 

表3 組織学的所見スコア

 

 

 

表4 組織学的所見スコアの基準

 

 

 

図3 組織学的所見スコア

【結論】

これまで述べてきた一連の試験により、RAP99菌体粉末を予め経口投与することにより、CTによる肝障害を抑制する効果を確認できた。また、RAP99菌体粉末の経口投与期間が長いほど、CTによる肝障害抑制力が強くなることが示唆された。さらに、組織学的な見地からは、肝細胞壊死が著明に抑制され、炎症細胞浸潤にも抑制効果が認められた。おそらくは、CTによって肝細胞が損傷を受けたとしても、壊死に至る前に回復し得た細胞が多数あり、その回復力はRAP99菌体粉末によってもたらされたと推測される。

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