13.光合成細菌 RAP99 の過労ラットを用いた抗疲労試験 | 専門

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<水浸疲労ラットを用いたRAP99の抗疲労試験>

試験責任者:株式会社鎌倉テクノサイエンス

【目的】

本試験は、RAP99菌株の抗疲労効果を水浸疲労ラットの鉛負荷試験における水泳耐久時間を指標に検討することを目的とした。本試験は「株式会社鎌倉テクノサイエンス動物実験運用規定」に基づき、動物実験倫理委員会による倫理審査を経て、実施機関の長の承認を得た(倫理審査番号:16-034)。

【要約】

水浸用ケージ(水温23±1°C、水の高さ1.5 cm)でラットを5日間飼育し(図1)、疲労状態にした後に強制水泳(水温23±1°C、高さ:40 cm、直径:18 cm、水の高さ25 cm)を実施した(図2)。その結果、水浸用ケージ飼育群対照群(対照群)と比較し被験物質(RAP99菌)投与群では濃度依存的な水泳耐久時間の増加傾向が見られ、高濃度群(100 mg/kg)で有意な増加が認められた(対照群208.5 sec、低濃度群254.3 sec、中濃度群261.2 sec、および高濃度群284.0 sec、p<0.05、Williams検定)。また、体重推移を確認したところ、対照群と比較し被験物質投与群はどの濃度においても変化は見られなかった。

ラット水浸ケージのイメージ

図1 水浸ケージのイメージ

ラットの強制水泳

図2 強制水泳

【試料と方法】

(1)RAP99菌体試料の調製

①投与液は用時調製した。

②溶媒は生理食塩水(日本薬局方生理食塩液、(株)大塚製薬工場)を使用した。

③秤量した被検物質に溶媒を必要量添加、ボルテクスミキサーにて攪拌した。

④20 mg/mL溶液を調製した後、溶媒を用いて2および0.6 mg/mL溶液になるよう適宜希釈した。

 

(2)使用動物

本試験で用いたラットのプロフィールは以下の通りである。

①種、微生物学的制御、系統及び性:ラット、SPF、Wistar、雄

②供給源:日本エスエルシー(株)

③動物管理番号:AC-013Ra

④入荷時週齢、匹数及び体重:6週齢、30匹、体重指定なし

⑤試験系選択の理由:抗疲労試験に汎用される動物種、且つ本試験で用いる被験物質RAP99の毒性試験を実施した系統を選択

 

(3)群分け

ラットは表1のように群分けした。

 

表1 ラットの群分け

群  名投与物質RAP99用量(mg/kg)

動物数

1

床敷ゲージ飼育群

生理的食塩水

0

6

2

水浸ゲージ飼育群・対照

生理的食塩水

0

6

3

同・低用量

RAP99

3

6

4

同・中用量

RAP99

10

6

5

同・高用量RAP99100

6

 

(4)試験のスケジュール

試験は図3のようなスケジュールで実施した。

試験のスケジュール

図3 試験のスケジュール

 

①群分け:前述したラットの群分けは試験開始日の前日に実施。

②経口投与:RAP99菌体試料溶液を、ディスポーザブル経口ゾンデ及びディスポーザブルシリンジを用いてラットに5日間強制経口投与した。

③経口投与終了後の翌日、試験開始後6日目に強制水泳試験を実施した。

④ラットの体重を試験開始日から6日間、毎日実施した。

 

(5)過労ラットの飼育

プラスチック製のケージの内部に、底から高さ1.5 cmの水(水温23±1°C)を入れた(以下、水浸ケージと表記)。ラットを水浸ケージで飼育すると、水が張ってあるために横臥できなくなる結果、ラットは睡眠できなくなる。このような不眠状態で5日間飼育して、ラットに過労負荷をかけた。

 

(6)強制水泳試験

強制水泳試験は、床敷ケージ飼育群および水浸ケージ飼育群共に試験開始6日目に実施した。 6日目に測定したラットの体重の8%の錘を尾根部に取り付けた後、室温で平衡化後23±1°Cに調整した水を張ったアクリル製円筒型水槽(高さ:40 cm、直径:18 cm、水の高さ25 cm)にラットを入れて強制水泳を実施し、ラットの鼻部が水面から10秒間沈むまでの時間(水泳耐久時間)を計測した。強制水泳終了後は水槽からラットを引き揚げ、体をタオルでふき取り休息させた後、ケージへ戻した。

 

【結果と考察】

(1) 水泳耐久時間

図4にラットの水泳耐久時間の測定結果を示す。

ラットの水泳耐久時間

図4 ラットの水泳耐久時間

(2)試験成立の確認

床敷ケージ飼育群と水浸ケージ飼育群対照群(以下、対照群と表記)について、水泳耐久時間を比較すると、床敷ケージ飼育群が476.7秒であったのに対して対照群は208.5秒であり、統計学的に有意な減少が認められた(p<0.001)。したがって、水浸ケージで飼育したラットには過労負荷がかかっており、試験成立条件を満たしていると判断した。

 

(3)RAP99の抗疲労効果の確認

水泳耐久時間を比較すると、対照群が208.5 秒であったのに対して、低濃度群254.3 秒、中濃度群261.2 秒および高濃度群284.0 秒であった。このように、RAP99投与群は濃度依存的な水泳耐久時間の増加傾向が見られ、高濃度群にて統計学的に有意な差が認められた(p<0.05)。

 

(4)ラットの体重の推移

図5に本試験におけるラットの体重の推移、図6に試験初日と6日目におけるラットの体重差を示す。水浸ケージ飼育群において、対照群と被験物質投与群(低濃度、中濃度および高濃度)の体重を比較すると、全ての群にてDay2で大幅に減少した。その後微増するもDay6時点で投与前体重には戻らず、RAP99投与による体重への影響は認められなかった。

ラットの体重の推移

図5 ラットの体重の推移

試験初日と6日目におけるラットの体重差

図6 試験初日と6日目におけるラットの体重差

【結論】

水浸ケージ飼育群において、対照群と比較しRAP99投与群(低濃度、中濃度および高濃度)で濃度依存的な水泳耐久時間の増加傾向が見られ、高濃度群では有意な増加が認められた。また、体重推移を確認したところ、対照群と比較しRAP99投与群はどの濃度においても変化は見られなかった。以上の結果より、本評価系において、RAP99菌株(100 mg/kg)の経口投与による抗疲労効果が確認できた。

以上

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